【この記事の結論:一番にお伝えしたいこと】
接地工事は、キュービクル・系統用蓄電池・太陽光発電設備のいずれにも共通する、感電・機器損傷を防ぐための基礎的かつ重要な工事です。接地の種別ごとに求められる接地抵抗値の基準があり、地質や埋設条件によって数値が左右されるため、施工時の測定と記録の管理が欠かせません。
高圧受電設備における接地工事の役割
接地工事は、電気設備の外に露出した金属部分を大地に接続し、漏電や地絡が発生した際に感電や機器損傷を防ぐための工事です。キュービクル・系統用蓄電池・太陽光発電設備など、設備の種類が異なっても、接地工事が果たす基本的な役割は共通しています。ここでは、接地工事がなぜ必要とされるのかを整理します。
接地工事が果たす安全上の役割
高圧受電設備で万が一地絡や漏電が発生した場合、接地が適切に施工されていないと、機器の金属部分に異常な電位が生じ、触れた人が感電するおそれがあります。接地工事は、こうした異常時の電流を安全に大地へ逃がす役割を担っており、電気設備の技術基準に基づいて、設備の種類や電圧に応じた接地工事が義務付けられています。
キュービクル・系統用蓄電池・太陽光発電設備に共通する接地の考え方
キュービクルの筐体、系統用蓄電池のコンテナ、太陽光発電設備の架台など、設備の形状は異なっても、金属製の外郭部分を接地する考え方は共通しています。特に系統用蓄電池のように大型で重量のある設備では、基礎工事の段階で接地極の埋設位置を計画に組み込んでおく必要があり、後から接地状態を改善しようとすると、掘削のやり直しなど手間の大きい工事になることがあります。
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接地工事の種類と適用される設備
接地工事は、電気設備の技術基準の解釈により、A種からD種までの種別に分類されています。それぞれ対象となる設備や求められる性能が異なるため、ここでは種別ごとの違いと、設備・用途による使い分けの考え方を解説します。
種別ごとの接地工事(A種〜D種)の違い
A種接地工事は高圧・特別高圧の機器の鉄台や金属製外箱に、B種接地工事は高圧・低圧を結合する変圧器の低圧側中性点に、C種接地工事は300Vを超える低圧機器の金属製外箱に、D種接地工事は300V以下の低圧機器の金属製外箱に、それぞれ主に適用されます。キュービクル内には高圧側と低圧側の両方の機器が収められているため、内部でも複数の種別の接地工事が組み合わされて施工されているのが一般的です。
設備・用途による接地の使い分け
系統用蓄電池のように高圧で連系する設備では、受変電設備に準じたA種・B種接地工事が必要になる部分があるほか、制御盤など低圧機器にはC種・D種接地工事が適用されます。太陽光発電設備でも、パワーコンディショナーや架台の接地要件は設備構成によって異なるため、設計段階でどの種別の接地工事がどこに必要かを整理しておくことが、施工ミスや後工程での手直しを防ぐことにつながります。
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接地抵抗値の基準と測定方法
接地工事は、施工しただけで完了するものではなく、実際に求められる接地抵抗値を満たしているかどうかを測定によって確認する必要があります。ここでは、一般的な基準の考え方と測定方法、記録管理の重要性を解説します。
接地抵抗値の一般的な基準の考え方
電気設備の技術基準の解釈では、接地工事の種別ごとに接地抵抗値の基準が定められています。一般的にはC種接地工事で10Ω以下、D種接地工事で100Ω以下(低圧電路で地絡を生じた際に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設する場合は500Ω以下)とされており、A種・B種接地工事についても算定式に基づいた基準値が定められています。実際の現場では、これらの基準値を満たすように接地極の本数や埋設方法を調整して施工します。
接地抵抗測定の方法とタイミング
接地抵抗の測定には、接地抵抗計を用いた測定方法が一般的に用いられます。新設時の施工完了後だけでなく、定期点検の際にも接地抵抗値を確認し、経年による数値の変化がないかを継続的に把握しておくことが重要です。土壌の水分量によって数値が変動しやすいため、季節や天候による違いも踏まえたうえで測定結果を評価する必要があります。
測定結果の記録が重要な理由
接地抵抗の測定結果は、その場で確認して終わりにするのではなく、記録として残しておくことが重要です。経年での数値の推移を把握しておくことで、接地極の腐食や劣化の兆候を早期に察知でき、設備全体の更新時期を判断する際の材料としても活用できます。
不良接地が招くリスクと施工上の注意点
接地抵抗が基準値を満たしていない、いわゆる不良接地の状態を放置すると、設備の安全性に関わるさまざまなリスクが生じます。ここでは、想定されるリスクと、施工段階で注意すべき要因を解説します。
不良接地によって起こり得るリスク
接地抵抗値が基準を超えている状態では、地絡・漏電時に十分な電流を大地へ逃がすことができず、感電事故や機器の損傷につながるおそれがあります。また、保護継電器が正常に動作しないなど、他の保護機能にも影響を及ぼす可能性があるため、接地工事は電気設備全体の安全性を支える基礎的な要素として位置づける必要があります。
施工段階で接地抵抗に影響する要因(地質・埋設深さ等)
接地抵抗値は、施工する土地の地質や土壌の水分量、接地極の埋設深さや本数によって大きく変わります。岩盤質で抵抗値が下がりにくい土地では、接地極を複数本組み合わせたり、埋設深さを調整したりといった工夫が必要になることがあります。系統用蓄電池のように広い敷地に大型の設備を設置する場合は、敷地内の地質のばらつきも踏まえたうえで接地極の配置を検討することが望ましいといえます。
既存設備の接地状態を点検で確認する重要性
新設時に基準を満たしていた接地であっても、経年とともに接地極が腐食するなどして抵抗値が上昇することがあります。あくまで参考事例ですが、定期点検の際に接地抵抗値の上昇が確認され、原因を調べたところ接地極の腐食が進んでいたというようなケースも見られます。既存設備であっても、定期的に接地状態を確認しておくことが、不良接地によるリスクを未然に防ぐことにつながります。
接地工事を依頼する際に確認しておきたいポイント
接地工事は目に見えにくい地中の工事であるため、施工後に状態を直接確認することが難しい工事でもあります。ここでは、依頼先を選ぶ際に確認しておきたいポイントを整理します。
測定結果の開示・記録提出の可否
接地工事を依頼する際は、施工後の接地抵抗測定結果を数値として開示してもらえるか、記録として提出してもらえるかを事前に確認しておくことをおすすめします。数値による裏付けがあることで、その後の保安管理や設備更新の判断において、施工時の状態を客観的な根拠として活用できます。
他工事(基礎工事・電気工事)との一体対応の有無
接地工事は、基礎工事や電気工事と密接に関わる工程です。分離発注の場合、工事業者間の連携が必要になるため、接地極の埋設位置や測定結果の共有について、事前に工程管理や品質確認の体制を確認しておくことが重要です。基礎工事から電気工事、接地工事、使用前自己確認までを一つの事業者が把握していると、工程間の情報連携がスムーズになりやすいという特徴があります。
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高圧受電設備の接地工事に関するよくある質問(Q&A)
Q. 接地抵抗値はどのくらいの数値が基準になりますか?
A. 接地工事の種別によって基準が異なり、一般的にはC種接地工事で10Ω以下、D種接地工事で100Ω以下(一定の遮断装置がある場合は500Ω以下)とされています。A種・B種接地工事は算定式に基づいて基準値が定められます。
Q. 接地抵抗値は一度基準を満たせば、その後も測定は不要ですか?
A. いいえ、経年とともに接地極が腐食するなどして抵抗値が上昇することがあるため、定期点検の際に継続して測定し、記録を残しておくことをおすすめします。
Q. 接地工事は基礎工事や電気工事と別の業者に依頼しても問題ありませんか?
A. 分離発注も可能ですが、接地極の埋設位置や測定結果の共有について、業者間で事前に工程管理や品質確認の体制をすり合わせておくことが重要です。基礎工事から電気工事、接地工事までを一貫して把握できる体制であれば、情報連携をよりスムーズに進めやすくなります。
高圧受電設備の接地工事に関するご相談は、株式会社トラストにお任せください
株式会社トラストは、地盤調査・基礎工事・電気工事・接地工事・使用前自己確認試験までを自社一貫で対応しています。接地抵抗の測定結果は数値としてお示しし、記録の管理までしっかりと行います。現場を熟知した技術力と誠実な対応で、多くのお客様に継続してご依頼いただいております。接地状態が気になる既存設備がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。
