はじめに
電気は、使えているうちは意識されにくく、止まって初めてその大切さに気づくものです。高圧ケーブルは、建物の中や地中を通って電気を運ぶ大切な設備ですが、その多くは目に見えない場所にあり、傷んでいても外から気づくことはほとんどありません。
だからこそ、ケーブルを敷設したときや張り替えたときには、実際に高い電圧をかけて、問題なく使える状態かを確かめておく必要があります。この記事では、大型施設の電気室で行った高圧ケーブル(CVT)の交流耐圧試験をもとに、試験前の準備から実施までの流れを、現場の目線でご紹介します。
耐圧試験とは?
耐圧試験は、ふだん使うときよりも高い電圧を、決められた時間かけ続けて、ケーブルや機器の絶縁が破れないかを確かめる試験です。高圧ケーブルの場合は、交流の電圧をかける交流耐圧試験が行われます。
試験では高い電圧を扱うため、試験の方法だけでなく、その前の準備や安全の確保がとても大切になります。当社の高圧電気設備工事の対応内容は、高圧電気設備工事業のページでご紹介しています。
耐圧試験の前に、何を確認するの?
いきなり高い電圧をかけるわけではありません。試験をしない機器を切り離して絶縁処理をすること、ケーブルの絶縁抵抗を測って状態を確かめること、接地がしっかり取れているかを測ること、そしてケーブルの静電容量を測って、試験に使う機器の組み合わせを決めることなど、いくつもの確認を重ねてから試験に入ります。
こうした準備を一つずつ確かめておくことで、試験を安全に、そして正しい結果が出る状態で行うことができます。
施工事例:大型施設の電気室
今回は、高圧ケーブルの耐圧試験のみをご依頼いただきました。
試験しない機器の切り離しと絶縁処理
まず、試験の電圧をかけない機器やケーブルの端を切り離し、絶縁シートで覆って処理します。試験の範囲をはっきりさせ、ほかの機器に電圧がかからないようにするための大切な準備です。
絶縁抵抗と接地の確認
続いて、高圧用の絶縁抵抗計(高圧メガー)でケーブルの絶縁抵抗を測り、試験の前の状態を確かめます。あわせて、接地抵抗計で接地がしっかり取れているかも測定しました。
現場のひとこと
今回使った高圧メガーは、赤いリード(+端子)からプラスの電圧が出るタイプです。国内でよく使われている絶縁抵抗計は、接地側に対してマイナスの電圧を出すものが多いため、つなぎ方が逆に見えるようで、「アースと電線側、逆じゃない?」とよく声をかけられます。メーカーの取扱説明書でも、このタイプは赤を接地側、黒を電線側につなぐよう示されています。使い慣れた測定器でも、極性を確かめてからつなぐことが大切です。
静電容量を測って、試験器の組み合わせを決める
ケーブルは、長くなるほど電気をためる性質(静電容量)が大きくなり、試験のときに流れる電流も増えます。試験器の能力を超えるような場合は、リアクトルという機器を組み合わせて補いますが、今回は静電容量を測った結果、リアクトルなしで試験できることがわかりました。そこで、変圧器が一体になった耐圧試験器を使って試験を行っています。
ケーブルに流れる充電電流は、周波数・静電容量・試験電圧から「2πfCV」の式で求めることができます。現場で計算することもできますが、充電電流チェッカーを使えば、静電容量と充電電流がその場で表示されるので、試験器の能力で足りるかどうかをすぐに判断できます。
耐圧試験の実施
準備が整ったら、試験器の電圧を少しずつ上げていき、決められた電圧に達したら、そのまま所定の時間保ちます。今回は、本線に加えて、盤から各所へ向かう高圧ケーブルもあわせて試験を行いました。試験中は電圧と電流の値を見守りながら、異常がないことを確認していきます。
現場のひとこと
耐圧試験は、電圧をかけている時間よりも、そこに至るまでの準備に多くの時間を使います。切り離しや絶縁処理、事前の測定を一つずつ確かめておくことで、当日の試験を落ち着いて進めることができます。
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見えない設備だからこそ、早めの確認を
高圧ケーブルは、傷みが外から見えにくく、気づいたときには事故につながっていた、ということも起こりえます。日頃の点検で絶縁の状態を把握しておくこと、ケーブルを張り替える際には試験までを見越して段取りしておくことが、安心して電気を使い続けるための備えになります。
電気は止まってから慌てるより、使えているうちに状態を知っておくほうが、影響を小さく抑えやすくなります。
お問い合わせ
「高圧ケーブルを張り替えたので、耐圧試験だけお願いしたい」「試験の前に何を準備すればいいか相談したい」といったご依頼も承ります。株式会社トラストでは、埼玉・千葉を拠点に全国各地で、高圧受電設備の工事から各種試験まで対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
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