はじめに
電気は、使えているうちは意識されにくく、止まって初めてその大切さに気づくものです。キュービクルの中にある変圧器は、長いあいだ黙々と働き続ける機器ですが、年数がたてば更新を考える時期がやってきます。
この記事では、海の近くにある施設で、屋上に設置されたキュービクル2か所の変圧器を更新した事例をもとに、変圧器だけを入れ替える工事の流れを、現場の目線でご紹介します。
変圧器(トランス)の役割と、省エネ基準のこと
変圧器は、電力会社から受けた高圧の電気を、照明やコンセント、空調などで使える低い電圧に変える機器です。建物で使う電気はすべて変圧器を通っているため、ここが止まると、建物の電気がまとめて使えなくなります。
変圧器には、国が定めた省エネの基準(トップランナー基準)があり、新しい基準に対応した変圧器は、電気を変えるときのロスが少なくなるように作られています。一方で、基準に合わせて設計が変わるため、以前の変圧器と外形の大きさが変わることがあります。この点は、後ほどご紹介する施工事例にも関わってきます。
当社の高圧電気設備工事の対応内容は、高圧電気設備工事業のページでご紹介しています。
キュービクルはそのままで、変圧器だけ交換できる?
盤や箱の状態がまだ使えるものであれば、変圧器だけを入れ替えることができます。キュービクル全体を新しくするより工事の範囲を絞れるため、停電の時間も短く抑えやすくなります。
ただし、新しい変圧器は大きさや取付穴の位置が変わることがあるため、そのまま置けるとは限りません。変圧器を載せる架台の加工や、配線のつなぎ方の確認など、現地に合わせた調整が必要になります。反対に、変圧器はまだ使える状態で、盤や箱のほうを入れ替えるケースもあります。どちらが合っているかは、設備の状態を見て判断していきます。
施工事例:海の近くの施設の屋上キュービクル
今回は、キュービクルメーカーからのご依頼で、既設の変圧器の取り外しと、新しい変圧器の接続を担当しました。屋上にあるキュービクル2か所で変圧器を入れ替えています。停電は朝から始め、午前中のうちに作業を終えることができました。
既設の結線を記録してから外す
変圧器を外す前に、どの電線がどこにつながっているかを一本ずつ確認し、記録していきます。新しい変圧器を同じように接続するための大切な下準備です。
変圧器の搬出と搬入
変圧器の搬出と搬入は、重量屋さんにお願いしました。キュービクルの中は狭く、クレーンのように上から吊ることができないため、鋼材と角材で通り道を作り、その上を滑らせるようにして運び出します。重量屋さんの手際がよく、大きな変圧器も人の手で鮮やかに入れ替えてくれて、とても頼もしかったです。
新しい変圧器に合わせて架台に穴をあける
今回の変圧器は、以前のものより省エネ性能の高い機種になり、大きさが変わりました。そのため、既設の架台に新しい取付穴をあけ、変圧器を固定できるようにしています。
現場のひとこと
穴あけのときは、ドリルのまわりにリング型のマグネットを置いて作業しています。削りくずの鉄粉が飛び散らず、マグネットに集まるので、盤の中に鉄粉を残さずに済みます。
接続と試験
新しい変圧器を据え付けたら、記録しておいた結線のとおりに電線をつないでいきます。端子の締め付けはトルクレンチを使い、決められた力で確実に締め付けています。耐圧試験は、施設の電気主任技術者の方が実施されました。
現場のひとこと
作業が午前中に終わったので、お昼は近くのお店で海鮮をいただきました。海の近くの現場ならではの、ちょっとした楽しみです。
ほかの高圧設備の工事事例は、高圧電気設備の施工実績からご覧いただけます。
海の近くの設備こそ、早めの点検を
海の近くでは、潮風の影響で金属が錆びやすくなります。今回のキュービクルも、扉や箱のまわりに錆が目立っていました。錆は見た目の問題だけでなく、雨水が入り込む原因にもなるため、早めに状態を確認しておくことが大切です。
また、今回の現場には、交換した変圧器のほかにも、年代を感じる油入りの機器が残っていました。古い油入機器には、絶縁油の分析を行ったことを示す表示が貼られていることもあります。長く使われている設備ほど、どの機器がいつ頃のものかを一度整理しておくと、更新の計画が立てやすくなります。
電気は止まってから慌てるより、使えているうちに状態を知っておくほうが、停電の時間も影響も抑えやすくなります。
お問い合わせ
「変圧器が古くなってきたが、どこまで替えればいいかわからない」「海の近くで錆が気になっている」といった段階でも大丈夫です。株式会社トラストでは、埼玉・千葉を拠点に全国各地で、高圧受電設備の新設から更新・改修工事まで対応しています。現地で状況を確認し、工事の進め方や停電時間の見込みをご説明いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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